私が大切にしている事は、「健・和・富」という言葉です。 これは「健康で和合力があれば、自然と富は潤う」という意味です。 これまでの人生(仕事)の中で、人間どんなに頭が良くても、健康でなければ意味がないという事を学びました。それから、出会いさえしっかりと持てる人間であれば、こんなに楽しい仕事は無いという事です。 私たち丸善の商売は、ゴム製品にしても樹脂製品にしても、他品種の産業の仕事を幅広くやらせていただけるので、いろんな人とも出会えますし、面白い仕事なんですよ。
私がいつも社員に言っているのは、「磨かなくてはダメだ!」ということです。 磨くと言われても磨き方がわからないでしょうから、「若いうちはとにかく汗をかいて働け!」と言います。働くうちに、こんなに汗をかいていてはいけないと気付いて、何か楽になる方法はないかと、自分で考えるようになりますから。だからまずは「汗をかきなさい!」と、そして「楽になる方法を自分で見つけなさい!」と言います。 無暗に「やれるだけやれ!」と言ったところで、全然進歩はしないでしょ? 寝る暇もないくらい仕事を与えられて、汗を流していくうちに、本当の知恵が生まれてくるんですよ。現代は無人化の時代になってきていますよね、人間の身体を使わなくてもいいというか。私たちの時代には、今と違って日常の中に仕事が豊富にあったんですよ。だからこそ、人間が豊かというか勤勉になったのかもしれませんね。その点、今の人なんかは本当に不幸だと思います。 |
私なんかは、頭がそんなに良くなかったですから、いろいろと努力をしましたよ。親にもたくさんの苦労をかけてきましたし。けれど、その分当時の私は、親の苦労というものを肌で感じて理解していましたね。 まぁ、そういう時代だったから、協同一致ができていたのだと思います。今は豊かではあるけれど、協同一致ができていないですからね。 実は丸善では、農作業を全員に体験させています。身体が鍛えられますし、普段見えなかった社員の一面が、手に取るように見えたりするからです(笑) だって口ばかりの人間よりも、実際に身体を動かして仕事している人間の方が、芯が通っていて良いじゃないですか。人間ってね、汗をかいて動いていると、それが喜びに変わるんですよ。「楽がしたい!」って思っているうちは汗だって出ないし、だらけた人材しか育たない。それが一番いけないことなんですよね。 |
だから最近では「見たり聞いたりをちゃんとしなさい」と、社員によく言います。今の人は、個人で繋がりを持とうとしないから、どうしても弱い部分がある。全ての物事というのは、見たり聞いたりして、わからないことは聞けばいいんです。多くを見学する、見ると言う力を持つと、物事は自分にとって凄く優位な立場になるんです。それに一人の力というのは、非常に小さいですからね。周りの人を見回し、分からない事は積極的に聞いて覚える。そうやって協力し合える関係を築いていくうちに、自分自身の器が大きくなったり、広くなったりするんですから。
仕事というのは、けっきょく信頼が大切になってきます、出会いと信頼です。 だから当時の私は、お客様から注文を受けた際には、欠かさずお礼を持って行きましたよ。それもね、お客様への納品が済んでもいないのにですよ(笑) そうやって関係を築いていくうちに、信頼を得ることができて、いろんなところから仕事が入って来ました。ものすごく忙しかったのを、今でも覚えています。だからね、仕事というのは努力をしていると運が湧いてくるんですよ。 見たり聞いたりをちゃんとしていれば、自分自身に勇気も出てきますし。そうやって考えると、僕は本当に良い人生を歩んできたと、つくづく思います。 だから人生には、凄く感謝をしています。 |